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自由と時間 ~年金生活雑感

時折、自分の人生は成功だったか失敗だったかと考えることがある。

そういう問題の立て方はおそらく間違っている。というのは、成功とか失敗は他人との比較をした場合に初めて出てくることで、自分自身を評価する場合にはそういう項目は出てこない。仮に出てきたとしても、どうしようもないことだし。

それよりもむしろ、自分はどういう要素を重視して生きたいと思っているのか、その観点に照らして、いまの生活は望ましいのか望ましくないのかと考える方が、ずいぶん建設的ではないかと思う。

前にも書いたことがあるが、私のかなり重要な判断基準は、「したくないことはしない」である。「したいことをする」を優先するとどうしても、したくないこともしなくてはならない。それよりも、したいことを我慢する方がいい。

先日村上春樹の本を読んでいたところ、「私はお金をそれほど重視しません。若い頃貧乏だった時も、お金がないなあと思うだけでどうしても欲しいとは思わなかった。それよりもむしろ、自由と時間が自分にとって大切です」というようなことが書いてあった。

お金に不自由しないベストセラー作家だからそう言えるんだろうと思う人が多いような気がするが、私は本心だろうと思うし、おそらく若い頃から、そう思って生きてきたのだと思う。

よく知られるように村上春樹は早稲田卒で、サラリーマンにならずに都内でジャズバーを経営していた。おカネのことを優先して考えれば、周囲の人間のようにサラリーマンになれば安定した高給を得られただろう。

小説家になったのは30歳になってからで、それまではジャズバーの経営者だった。経営者とはいっても小規模経営の客商売で、資金繰りもきついし朝から夜中まで働かなければ暮らしていけなかったという。

にもかかわらず、お金を重視しないというのは芯が通っているし、代わりに求めるのが「自由と時間」というのも納得のいくことである。サラリーマンになって必ずなくすものが、まさに「自由と時間」だからである。

ひるがえって自分自身のことを考えると、リタイアして5年半、「自由と時間」は満足できるくらいにはあると思う。自由というのがやりたいことを心置きなくできる自由ではなく、他人に小突き回されない、あれこれ指図されない自由であるけれども。

「やりたいことを心置きなくできる」ということが人間本来の欲望であるかどうかにも、疑問を持っている。人間本来の欲望とは、腹いっぱい食べたいとか、雨風にさらされない居場所がほしいとか、暖かい衣服を着たいとか、そういうことなんじゃないかと思っている。

地位や財産、名誉なんてものは、なくたって別に困る訳ではない。そんな考えが出てきたのは有史以来たかだか数千年で、その前の数万年はおそらく誰も考えなかっただろう。

p.s. 年金生活のバックナンバーはこちら

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私の人生で優先順位が高いのは、「やりたくないことはしない」である。地位とかカネとか名誉なんてものは、人間が生きていくのに必要不可欠でもなければ、重要でもないと思う。

プロフィール

taipa

Author:taipa
 

6年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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