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もう少しだけ友達でいようぜ今回は ~年金生活雑感22

米津玄師の「砂の惑星」に、「もう少しだけ友達でいようぜ今回は」というフレーズがある。年金生活に入って人間関係を断捨離していく中で、胸に響く一節である。

彼の曲は現代風とか、過去のアーティストの系譜に属さないとかいわれているけれど、韻を踏んでみたりなにげに五七調だったり、唐詩や和歌に近いように感じる。だから、シルバー層にファンが多いのだろう。(あいみょんが好きなじいさまだっているかもしれないが)

この「砂の惑星」は、初音ミク10周年のイベントで主催者から頼まれて作ったテーマソングである。よく知られるように、米津玄師は初音ミクの初期に楽曲を提供していて、百万再生を超えたヒット曲も何曲かある。

主催者としては、初音ミクのコミュニティからスタートしてメジャーになった米津玄師にテーマソングを書いてもらおうという軽い気持ちだったと思うが、さすが米津玄師、主催者の思惑を超えた深い曲を書いてしまった。

「今後千年草も生えない」「この井戸が枯れる前に早くここを出ていこうぜ」などの歌詞は、ボーカロイド(初音ミク、リン・レンなど擬人化されたプログラム)に執心するコミュニティには概して評判が悪かったが、彼の歌詞が過激なのは元からである。

それよりも、わずか10年しか経っていないコミュニティにもかかわらず、かつての仲間の中には若くして世を去ってしまった者もいれば、所在不明になってしまった者も少なくないだろう。だから、「有象無象の墓の前で敬礼」しなくてはならないし、「応答せよ早急に」なのである。

ひるがえって私自身のことを考えると、倍の人生を送っている分、多くの時間を過ごした友達の中に、どこに行ったか分からない人もいれば、先に向こうに行ってしまった者も彼よりずっと多い。

昔の友達の中にはいまでも活躍している人もいて、最近の消息が聞こえてくることもある。こちらがリタイアして年金生活をしているのに、まだ現役ばりばりでこれからさらに階段を登ろうとするのはすごいと思ったりする。

友達は選べるとはいっても、実際に選べる範囲は広くない。生活環境が似ていなければ知り合うことは難しいし、興味や関心の方向が重ならなければ話をすることもない。だから、たとえ短い期間であっても、友達になるというのは相当に稀有のことなのだ。

気がつくと10年20年会っていない人がほとんどだし、下手すると30年40年前である。仕事の知り合いはみんな嫌な奴で、趣味の仲間はみんないい奴なんてありえないから、おそらく誰でも仕事の顔と趣味の顔があるのだろう。

そして、会社がらみの連中には二度と会いたくないと思う人がほとんどだが、一緒に勉強したり、一緒に趣味の時間を過ごした仲間には会いたいと思うから不思議である。

いずれにしても、これから先もう一度会って旧交を温めるなんてことはほとんど起こらない。リタイアというのは、そうやって交際範囲や人間関係を狭めていく過程だからである。

でも、一緒に楽しい時間を過ごしたことや、元気でやっていることを知ったときの安堵感は、いまでも胸を暖かくする。自分が生きて、活動して、楽しんだ思い出は、いまから新しく作ろうとしてもそう簡単にはできないのである。

だから、もう一度会うことがあれば「もう少しだけ友達でいようぜ今回は」と言いたい人は、多くはないけれど何人かはいる。残念ながら、お互いの境遇が違ったり、社会的経済的影響(コロナとか)があって、そういう機会はおそらくないだろうと思う。

それにしても、「今回」ってどの回のことなんだろう。もしかすると、向こうの世界でもう一度会った時のことなのかもしれない。

p.s. 年金生活のバックナンバーはこちら



「砂の惑星」、初音ミクver.はYouTube等のミュージックビデオで視聴可能。米津玄師ver.はアルバム"Bootleg"に収録されている。Bootlegって、マニングか?

プロフィール

taipa

Author:taipa
 

4年前にリタイア、気ままなリタイア生活を送っています。
過去のnifty(2005-2014)、忍者(2014-2018)、当サイトの15ヶ月を経過したブログ記事は、下のリンクからホームページでご覧いただけます。

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