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渡辺棋王、本田五段を3-1で破りタイトル8連覇

第45期棋王戦五番勝負(2020/2/1-3/17)
渡辺明棋王 O 3-1 X 本田奎五段

初出場で挑戦権を獲得した本田奎五段。棋王戦はアマと女流にも出場枠があるので、もし同じことができればアマでも女流でも挑戦権に手が届く。充実著しい渡辺三冠にどこまで迫ることができるか興味深い番勝負となった。

本田挑戦者はデビュー以来間もないため、五番勝負第1局が渡辺棋王とは初手合いとなった。

勝ち上がりの過程で、現二冠の永瀬七段、前竜王の広瀬八段、前名人の佐藤天九段を破っているので挑戦者資格としては十分であるが、現時点トップの一人である渡辺三冠を破ればまさに新星登場である。

その意味で、初手合いであり開幕戦でもある第1局の比重がたいへん大きかった。本田五段が先手となって研究手順に持ち込めば面白いと思っていたが、振り駒の結果先手は渡辺棋王、経験豊富な矢倉戦に持ち込んだ。

角交換の後、お互い敵陣に角を打ち込んで馬を作り、どちらの馬が有効に働くかという局面となった。Abemaの解説陣である藤井猛九段、中村太地七段が長期戦を予想する中、本田五段は銀矢倉の右銀で敵陣突破を図った。

ところがここで、渡辺棋王の4五桂が強烈なカウンターとなった。馬で取れば2六の銀が取られるし、3三の銀を逃げれば4六金で拠点の歩が取られ馬に当てられる。金を取っても銀を取られて馬取りが続く。この時点で、評価値的には大差が付いてしまった。

数手前までは夜戦必至、千日手・持将棋の可能性もあるといわれていたのに、双方持ち時間を約1時間余して午後5時に本田五段投了というあっけない結末となったのである。

実績・経験で劣る本田五段が百戦錬磨の渡辺棋王に対抗するには何とかして棋王をあわてさせる必要があるのに、この第1局は大きかった。一手違いどころか渡辺陣はほぼ手付かずである。意表を突いた銀矢倉も、あまり効果がなかったように見えた。渡辺棋王が、早くも八連覇に向けて展望が開けた第1局であった。

第2局を本田五段が勝って迎えた第3局。この時点で両者とも過密日程で、ともに直近5戦1勝4敗と、勝率上位を争う両者にしては変調とも言うべき状況での対局となった。

とはいえ、3日前のA級最終局を勝って5連敗を免れ、全勝で名人挑戦を決めた渡辺三冠の方が、公式戦ではないものの折田アマの編入試験で敗れた(デビュー間もないのでこういう仕事もある)本田五段より上向きにあるのではないかとみられた。

この第3局も昼食休憩明け間もなくから渡辺棋王の攻勢が始まり、第1局と同様に午後4時台という早い終局となった。余勢を駆って2週間後の第4局も渡辺陣手付かずのまま午後5時台の終局で、3勝1敗で渡辺棋王の防衛となったのである。

渡辺棋王はこれで7度目の防衛でタイトル8連覇。現在継続中の最多防衛記録を更新し、自身の持つ竜王9連覇にあと1と迫った。タイトル防衛というのは簡単ではなく、大山・中原・羽生を除きタイトル5連覇以上を果たしたのは佐藤康光の棋聖6連覇だけで、永世名人資格者の谷川も森内も通算獲得回数による永世資格である。

渡辺三冠のすごいところは、ソフト全盛の現在、これまでとは違う研究方法が求められる中にもかかわらず、コンピュータが得意とも思えないのに十分以上に若手に対抗しているという点である。

もともと渡辺は羽生の次、藤井聡太の前の中学生プロで、長く活躍している印象だけれど広瀬と3歳、佐藤天彦と4歳しか違わない。とはいえ、ソフトが人間の棋力を超えてからまだ4~5年、その前から活躍している渡辺三冠がソフトでの研究を得意としているとは考えにくい。

近い将来、20歳近く年下の藤井聡太が挑戦者として名乗りを上げてくる。早ければ、夏の棋聖戦になるかもしれない。次世代の新星を相手に渡辺三冠がどのような将棋を指すのか、今から楽しみである。

p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら


第1局は矢倉戦。お互いに馬を作って長期戦になりそうだったが、取られそうな2七桂を3五にハネたタダ捨てで、一気に形勢が傾いた。4四に銀が逃げると4六金で馬が追いつめられる。





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taipa

Author:taipa
4年前にリタイア、気ままなリタイア生活を送っています。
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