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江戸時代には道場寺と呼ばれた郷照寺 七十八番郷照寺(前編)

区切り遍路3日目の朝になった。前日、海岸寺まで「看板に偽りあり」の長距離を歩いたせいか、全身が痛む。夜中、ヒザに湿布薬を貼ったのだけれど、あまり効果はない。荷物を置いて身軽になって歩いたのに、それ以上にハードな道のりだった訳である。

幸いなことに、台風はまだ朝鮮半島にいる。2~3日中に日本海を北上してくる予想進路となっているが、四国にどの程度影響があるかはよく分からない。降水確率が90%とか100%ではないからそれほど深刻な影響がない可能性もあるが、期待するより来るものと思っていた方がショックは少ない。

いずれにしても、この日は丸亀からのスタートである。前日に郷照寺までお参りできていれば白峯寺まで登るという選択肢もあったが、丸亀からではとても無理である。国分寺までだから、あまり早出しても仕方がない。前日の夕方に乗ったコミュニティバスが8時23分にホテル前に来る。それに乗ることにした。タクシー代とバス代の1000円差は大きい。

朝食は6時半からバイキング。前の日はパンにしたので、この日はご飯にした。納豆と味付け海苔、焼いたサバ、サラダとオレンジジュース、牛乳。前日の夕食がスーパーの弁当で味気なかったので、温かくておいしい。

この日はフル装備でちょっと重い。バスを待っている間に小雨がぱらついたが、リュックカバーをするほどでもない。時刻通りにバスが来て、約30分。午前9時前にJR丸亀駅に着いた。

駅前から丸亀坂出間を結ぶメインルートである県道33号線まで、商店街を歩く。ところどころ廃業してシャッターを閉めたままの店があり、そのシャッターに絵が描いてある。県道に出ると、向こうから丸亀城の天守閣が見えてきた。

その丸亀城よりも目を引いたのは、左折してしばらく歩くと見えてきた讃岐富士の堂々たる姿である。予讃線に乗っているとたいへん目立つ山であるし、リムジンバスやお遍路歩きの途中で何回も見た。だが、これほど近くで見たのは初めてである。

市街地を1時間ほど歩いて郷照寺に達する。このあたりは丸亀の隣の宇多津の街で「霊場記」にもそう記されている。さきほど讃岐富士が見えた河川敷が土器川であり、そこまで丸亀藩、それからが高松藩となる。

仏光山郷照寺(ぶっこうさん・ごうしょうじ)、真念「道指南」の頃は道場寺と称した。八十八札所中唯一の時宗寺院で、もともと念仏道場であったことから道場寺と呼ばれた。宇多津港を望む高台にあり、瀬戸内を往来する舟の灯台の役割を果たしたことから、仏光山の山号が名付けられたと五来重氏は推測している。

真念「道指南」に「少山上」と書かれているとおり、宇多津の街から坂道を少し登った高台にある。もと念仏道場であったことは、ご詠歌「をどりはね念仏申す道場寺」に名残りがある。

寺のHPによると、天正の兵火で焼失した後、高松藩主松平頼重により再興された。その際に寺号を郷照寺と改め、もともと真言宗だったものを時宗と併存させたように書かれているが、ちょっと首をひねるところである。

まず、松平頼重は水戸黄門徳川光圀の兄で江戸初期の大名である。真念「道指南」より時代が古い。にもかかわらず「道指南」も「霊場記」も道場寺で、江戸後期の札所案内「象頭山四国八十八札所案内」でも「だうじゃうじ」である。

何よりもご詠歌の「をどりはね念仏申す」は時宗の踊念仏を表現していることは明らかである。だから道場寺はもともと念仏道場であって、江戸時代を通じて道場寺と呼ばれていたのだと思う。(別名で郷照寺を使っていたとすれば、「道指南」「霊場記」はそう書いたはずである)

道場寺が郷照寺となるのはそれよりもっと後、八十八札所がパッケージとしてみられるようになった明治時代からだと思う。「円明寺」「延命寺」が同じ「えんめいじ」が続いてまぎらわしいので、明治になって違う寺号・読み方にしたのと同じ事情である。

信仰についても、真言宗と時宗では宗旨が違いすぎる。現在では厄除け大師として大師信仰を前面に押し出しているけれども、これは近年のことで、少なくとも江戸時代には時宗寺院として存続していたのではなかろうか。

(この項続く)

p.s. 「四国札所歩き遍路」のバックナンバーはこちら


JR丸亀駅から郷照寺へ向かう。右手には讃岐富士が間近に見える。


郷照寺は国道から少し坂道を上がった高台にある。江戸時代には、丸亀まで船便で来ると、最初の札所がここ(当時は道場寺)だった。


郷照寺本堂。たいへん景色のいいお寺である。

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