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豊島また逆転で史上4人目の竜王名人に

第32期竜王戦七番勝負(2019/10/10~12/07)
豊島名人 O 4-1 X 広瀬前竜王

木村九段との夏の十番勝負をフルセット戦った豊島名人が、広瀬前竜王を4対1で下して初の竜王を獲得、史上4人目の竜王・名人となった。

今回の竜王戦は、第3局・第5局で、2日目夕方まで広瀬竜王優勢とみられていた局面から豊島名人が逆転した。ともに興味深い1局だったが、ここではカド番に追い込んだ第3局をとりあげたい。

先手番の豊島名人が角換わりから1筋を交換、7三の桂馬を狙いに行った。封じ手前後の局面では先手の攻めは細いとみられており、私も、これで先手が押し切ったら角換わりは先手有利で結論づけられてしまうだろうと思っていた。

実際、先手の攻勢はそう簡単に決まらず、せっかくできた竜を後手の自陣飛車と交換、馬も取られて後手有利の分かれとなった。

2日目午後の形勢は後手が1000点リード。広瀬竜王は入玉して点数勝ちというルートも見えるし、持ち駒も多く攻め手には事欠かない。あとは詰めろの連続で決まるという局面で、広瀬竜王は3四にいた金を4五に上がった。これが敗着で、動いた後に桂を打たれて逆転してしまった。

4五金も詰めろなのだが、王手の方が強い。そして、後手玉を下段に落とした後で8五銀と歩を取ると、自玉の逃げ道を開くとともに寄せに必要な歩を確保する「詰めろ逃れの詰めろ」になるのである。

これを見ていたアベマ解説の深浦地球代表が「よく木村さん勝てましたね」と言ってしまった(どう考えても失言だが、木村王位本人が解説してもそう言ったような気がする)ほど、一瞬のスキをとらえた大逆転であった。

3連勝であと1勝となれば、豊島名人絶対有利である。第4局の先手番で広瀬竜王が1勝を挙げ、第5局は豊島名人の先手番。再び得意の角換わりで、桂と歩4枚の交換。どちらの主張が生きるのか難解な中盤戦となった。

2日目に入ってお互いに長考の連続。と金を作って敵陣に飛車を打った広瀬竜王が攻勢をかけ、夕方の段階では後手優勢で解説者の見解は一致していた。

実は私も、8七歩まで見てあとは後手勝ちだろうとプールに行ってしまった。驚くべきはここからで、9八に避けた豊島玉が詰まないのである。帰ってきて結果を見たら豊島逆転勝利となっていたのでたいへん驚いた。

ここに至るには前段があって、2日目午後3時前後にあわや千日手という局面があった。ここは広瀬竜王が打開したのだが、千日手の可能性がある局面では多くの場合、打開した方がやや不利になる。あるいはこのあたりに勝負のアヤがあったのかもしれない。

広瀬前竜王は終盤の強さに定評がある。しかし今回の竜王戦では第3局、第5局で優勢とみられた局面から逆転を許した。王将戦リーグ最終局の藤井七段戦も相手が1分将棋でなければ間違えなかっただろうし、棋王戦勝者組決勝では本田四段に敗れている。まだ30代前半で老け込むには早いので、王将戦七番勝負での巻き返しを期待したい。

豊島名人は10代目の竜王、史上4人目の竜王名人となった。インタビューで答えていたようにタイトル獲得はあるが防衛はなく、来年は防衛が目標となる。

個人的に気になるのは、豊島竜王名人は事前研究の深さに定評があり、時間をかけずに指す場合には安心して見ていられるのだが、研究範囲から外れて長考するようになるとあまりよくない手を指すことである。

王位戦七番勝負でもそうだったが、今回の竜王戦でも持ち時間の消費とともに形勢が悪くなる傾向があった。今後防衛しなければならない名人戦も竜王戦も、持ち時間の長い将棋である。そのあたりどう修正を図っていくのか、興味深い。

p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら

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第3局終盤。後手の広瀬竜王は詰めろの連続でよかったが、3四の金を4五に上がったのが悔やまれる敗着。動いた後に桂を打たれて逆転した。

プロフィール

taipa

Author:taipa
3年前にリタイア、気ままなリタイア生活を送っています。
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