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大原扁理「年収90万円で東京ハッピーライフ」

「貧乏神髄」の川上卓也がその後の生活記録を書かなくなって以来(耐乏Press Japanはとうとう”503 Service Unavailable”になってしまった)、この分野でなかなかしっくりくる本がなかった。この本は久々に読んだしっくりくる本である。

とはいえ、著者は自分が「節約」をしているとは考えていない。「やりたいことをするために稼ぐ生活」から、「やりたくないことをしないために身の丈に合った生活」にしただけである。私が60年かかって分かったことを20代で会得するのだからたいしたものである。

大きな違いは、私が60代になってからの「まさに隠居」であるのに対し、著者が20代後半から「隠居生活」をしていることである。とはいえ、自分の生活を見直して必要なおカネを得るだけ働くというのは、筋道の立ったまっとうな考え方だと思う。

地方から東京に出てきた著者は、最初は家賃7万円のシェアハウスに暮らしていた。家賃・食費・その他必要経費を稼ぐために休む間もなくバイトを掛け持ちし、これは違うとある日思った。

よく探すと都内でも安い家賃の部屋はちゃんとあって、駅から20分・家賃3万円以下の物件を国分寺に見つけて引っ越す。心霊現象が嫌なので事故物件を避け、ちゃんとバス・トイレ・冷蔵庫もついてこの値段である。

そして、これまでの生活を見直した結果、月に6万円あれば不自由なく暮らせるということに気づく。毎日やっていたバイトを整理し、週2日だけにしてあとは自分の好きに過ごすことにした。

みんながしているように自分もしなければならないと著者は考えない。それよりも、自分で感じ考えたことに従って生きる方がいい。他人はともあれ、自分はそう思うのだからそうする。週休5日は結果であり、働くのが楽しくなれば将来週休ゼロになるかもしれない。

著者のいいところは、そういう自然体なところである。節約したりなるべく働かないことが目的ではなく、自分が満足して一日過ごすことが一番大切だという。だから、温泉や外食にも行くし本が売れれば税金も納める。

この本の中に、おカネの身になって考えればおカネに困ることはないと書いてある。年収90万円だからけっして金持ちではないが、必要な時はなぜかおカネが入ってくるめぐり合わせにあるという。

おカネの身になってというと妙だけれども、昔から「高く買ってくれる人よりも、おいしく食べてくれる人のために(農作物を)作っている」という言葉はあった。ほとんどの人はおカネは通貨とかデジタルデータのことだと考えているが、本当は形あるものなのである。

著者は現在、国分寺のアパートを引き払い、台湾で海外隠居生活を送っているという。学校を出て間もない頃、おカネを貯めて世界一周したことがあるくらいだから海外も苦にならないのだろう。

私のように老い先短い隠居と違って、まだ若い人にはいろいろ可能性がある。自分のできる範囲でやりたいことをするというのは、大変いいことだと思う。

p.s. 1970~80年代少女コミックス等、書評いろいろあります。バックナンバーはこちら

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年収90万円で暮らすのは目的ではなく結果。やりたくないことをしなくていい生活が大事だと著者はいう。そのとおりだと思う。

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taipa

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