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奨励会同期対決、永瀬が勝って二冠達成 ~将棋の話題

第67期王座戦(2019/9/2-10/1)
永瀬拓矢叡王 O 3-0 X 斎藤慎太郎王座

王座戦がタイトル戦に昇格したのは1983年と比較的新しい。そのため、タイトルとなってからの王座には大山十五世名人が入っていないのだが、それでも、個人的に「将棋界のオールスター戦」と呼んでいるタイトルである。

というのは、タイトル保持者が本戦の16人にシードされるため、自動的に予選通過枠がたいへん少ないこと、持ち時間が5時間と順位戦に次いで長く、腰の据わった大勝負になることが多いこと、そして、羽生永世七冠が19連覇というおそるべき記録を持っていることである。

そのオールスター戦に永瀬叡王がトーナメントから出場したのは、タイトル保持者のためではない。前期に予選から勝ち上がり、ベスト4に残ったことでシードされたのである。このところ毎年タイトル戦の挑戦者となっているが、今年は叡王獲得に次いで2度目のタイトル登場である。

この二人は奨励会同期である。三段リーグ参加も同時で、他にも菅井前王位、澤田真吾六段が2008年前期からの三段リーグである。すぐ前の世代の三段リーグも豊島名人、広瀬竜王、佐藤天前名人、糸谷八段、中村太地七段など錚々たる顔ぶれであったが、当時の三段リーグも強豪揃いである。

すでに菅井、高見、斎藤慎太郎がタイトル獲得、売り出し中の佐々木勇気、矢代弥、三枚堂あたりがいつタイトル戦線に登場してきてもおかしくない。20代の若手棋士とはいえ、すぐ後ろから藤井七段や増田六段などさらに若い世代が追いかけてきているだけに、のんびりしてはいられない。

私の見るところ、勝敗を分けるポイントとなったのは第2局であった。夕食前の段階で、斎藤王座が評価値で600点ほどリードしていて、見た目にも永瀬叡王の玉が窮屈な位置に押し込められ、終局近しと思わせる状況であった。

ただ、王位戦でも2000点差の逆転があったように、コンピュータと人間の感覚は違う。また、評価値で数百点の差を人間が感知できるとは限らない。この後、勝負どころで斎藤王座の持ち時間が少なくなり、何度か決め手を逃して混戦となってしまった。最後は秒読みで疑問手があり、永瀬が逆転したのである。

若手の中でも、豊島、永瀬、菅井といったタイトル常連は持ち時間の使い方がたいへんうまく、序盤はほとんど時間を使わず終盤戦でも十分に考える時間を残している。時間攻めというと相手のミスを誘う印象があるが、そうではなく自分がミスをせず、最善手を逃さないという時間の使い方である。

また、永瀬新王座は、さきの木村王位と似たところがあって、長手数の勝負を全く苦にしない。そして、木村が持将棋系であるのに対し、永瀬は千日手系という違いがある。永瀬は先手でも後手でも千日手を避けず、まるで長時間指せば自分が有利と思っているかのようである。

今回の王座戦でも、第1局は永瀬先手の千日手となり、後手番になったが指し直し局を永瀬が制した。第2局も上記のとおり後手番で永瀬が連勝、斎藤王座は早々にカド番に追い込まれた。

聞くところによると、ソフト同士の戦いで千日手となる例がたいへん多いという。おそらく双方が最善手で戦いが進めばどこかで千日手となり、回避した方が不利になるというのが将棋の結論だろうという気がする。そうなると、何番勝負であっても指し直し、指し直しの連続で第1局すら終わらないということになる。まるで、「東一局五十二本場」のようだ。

ソフト同士の対局はシンギュラリティまでにそういう結論に達するのかもしれないが、人間の場合は持ち時間というものがあるので、私が生きている間にはそういうことにはならないだろう。永瀬新王座の戦いはそうした未来将棋のイメージがあり、これから渡辺、豊島、藤井聡汰らとどういう戦いを繰り広げていくのか、たいへん興味深い。

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第67期王座戦第2局、夕食休憩前の局面。控室の検討では先手・斎藤王座優勢とされた局面ながら、評価値は数百点でさほど開いていない。この後、双方1分将棋のねじり合いになり、永瀬叡王が連勝。

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taipa

Author:taipa
3年前にリタイア、気ままなリタイア生活を送っています。
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