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本堂・大師堂を兼ねる大聖堂へ 六十一番香園寺(後編)

さて、この日出発するにあたり、たいへん気がかりだったのは、体調がすぐれないということであった。

お遍路歩きの準備として、8日前に伊豆ヶ岳で山歩きをし、4日前には近所を15kmほど歩いたのだが、この時たいへんに暑くて、家に帰る頃にはへとへとになってしまったのである。

まあ、遠い四国でへとへとになるくらいなら近所でなった方がましなのだけれど、疲れは足腰よりも体調に来てしまい、どうにも調子がよくなかった。とはいえ、宿やエアを予約してあるから日程を動かす訳にはいかず、この日も、松山までの道中ずっと目をつぶって体力回復を図っていた。

壬生川のパン屋さんで入手したカツサンドとあんドーナツを食べても、なかなか頭がすっきりしてこない。ホームセンターの前で県道を左折し、小松市街方向に向きを変える。すっきりしない頭と同様、行く手の山々は雲に覆われてよく見えない。

それでもがまんして1km2kmと歩いている間に、頭より先に足がペースを思い出してくれた。大きな川を一つ渡ってミニストップでソフトクリームを買う。ようやく頭の方もピントが合ってきた。

小松の街が近づくと、横峰方向がぼんやり浮かび上がってくる。山の中腹に建物が見えるあたりが香園寺だろうか(建物は小松高校で香園寺はその前あたりになる)。左にショートカットできそうな道が見えるけれども、様子が分からないので安全策で県道を直進する。体調が今一つの時は、リスクを最小限にした方がいい。

国道11号にぶつかって左折すると、そこからは案内板があるので安心である。スーパーのある角を案内にしたがって右に入り、ほどなく六十二番納経所が見えてきた。その横に六十一番の山門があり、心配していた登り坂がなかったのはありがたかった。

栴檀山香園寺(せんだんさん・こうおんじ)、古くは「香苑寺」と書いたようで、霊場記にはその名前が使われている。弘法大師がこのあたりを通りかかると栴檀の芳香がしたので寺を建てたという伝説がある。

たびたび引き合いに出す五来重氏によると、香園寺は「とめてとまらぬ白瀧の水」とご詠歌に謳われている白滝の霊場があって、もともとそこにお参りする施設として開かれたという。白滝の霊場は香園寺の奥ノ院であり、横峰寺から下りてくる経路にあるので今回はお参りすることができなかった。

山門の向こうから本堂が見えてきた。昭和50年代に本堂を大改装し、八十八ヶ所では大変珍しい鉄筋コンクリートの巨大な本堂である。本堂には右側の階段から2階に入り、スリッパに履き替えてご本尊のいらっしゃるステージ前に進む。後ろには備え付けの客席があり、コンサートでもできそうである。

ご本尊は大日如来。今回はじめてのお経を上げさせていただく。このホールは大師堂を兼ねていて、向かって右奥にお大師様がいらっしゃる。そちらにもお伺いして読経。私のいた時には4、5人の参拝者がいるだけで静かだったが、バス遍路でも来て大声で唱和されたら、ずいぶんにぎやかなことになりそうだ。納経所へはいったんホールを出て、山門の方に戻る。

霊場記挿絵をみると境内にはほとんど建物がなく、説明には周囲は田畑であると書かれている。そういう状況から今日の大きな施設に成長させたのだから、香園寺代々のご住職には経営手腕があったということであろう。

この香園寺はあの種田山頭火が頼りにしていたお寺さんでもあり、当時から経済的には余裕があったことを窺わせる。札所であるだけでなく「子安大師」が有名で、ご本尊お姿のほかに子安大師のお姿もいただける。各地から、子育て祈願のお参りが多いようである。

この日の経過
JR壬生川駅 11:15 →[6.2km]
12:50 香園寺 13:25

p.s. 「四国札所歩き遍路」のバックナンバーはこちら


国道11号から案内表示にしたがって右に折れると、ほどなく香園寺の山門が見えてくる。すぐ横には六十二番礼拝所がある。


木立ちの向こうから迫る巨大なホール(大聖堂)。納経所はこのホールの前、この写真では左側になる。


香園寺大聖堂。本堂と大師堂を兼ねる。ホール右側の階段を上がって2階から、スリッパに履き替えてお参りする。ホールの中には備え付けの客席があり、まるでステージのようだ。

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taipa

Author:taipa
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