中高年ランニングの目的
- 2023/11/18
- 05:15
マラソン大会のアンケートで、参加した感想を訊かれることがある。いつの大会だったか覚えていないが、参加の動機について質問があって、答えようと思ったら思わず手が止まった。
というのは、私にとって当然あるはずの選択肢がなく、「走るのが趣味だから」「タイム更新を狙って」「仲間と楽しめる」「イベントが楽しそう」などが固定の選択肢で、結局「その他」で自分で書かなければならなかったのである。
私の参加動機は「健康維持のため」「加齢に伴う身体能力の低下を防ぐため」である。「いつまでも健康でいたいから」ぐらい選択肢に含まれていてもいいのだが、そういうものはなかった。
多くのマラソン大会に参加者名簿が付けられていて、参加者をみると50代60代がもっとも多い。私が30代で走った頃はもっと若い人達が多かったと記憶しているが、いまや20代30代は少数派である。
50代60代の参加者にとって、私と同じ目的でランニングに励み、マラソン大会に参加しようと思う人は少なくないはずである。にもかかわらずそうした理由を想定していないとすれば、その主催者はいずれ見当違いな来場者サービスを始めるだろう。
想像するに、主催者は地域振興だけに関心があって、できるだけ多くの人に来てもらい多くのカネを落としてもらいたいのだろう。そのこと自体を否定するものではないが、だったらマラソン大会じゃなく他のイベントを開いたらどうですかと言いたくなる。
みんなが集まるのが楽しい、お笑いや女の子でにぎやかな出し物を見たいという人は、コミケとかゲームショーとかそういうイベントの方がいいんじゃないですかということである。
また、走るのが楽しくて仕方がないという人も、50代60代でどれだけいるんだろうか。村上春樹の本に瀬古さん(われわれ年代のスーパーランナーである)にインタビューした時の話が載っている。
「瀬古さんでも走りたくないなあ、って思うことはあるんですか」と村上春樹が訊くと、びっくりしたような顔でこう答えたそうである。「あるに決まってるじゃないですか」
比較にはならないが、私は走る前はいつもおっくうだし、えいやっと着替えて走り始めると最初の1kmくらいは辛くて仕方がない。準備体操をちゃんとしても、アキレス腱も痛むし肩も張る。2km3kmと走って、ようやく足も体も動くようになる。
残り1kmくらいでもうすぐ終わりだとうれしくなり、走り終わるとたいへんすがすがしい。悪いものが汗と一緒に流れてしまったようで、走る前よりずいぶん体が軽く感じる。
だから、後から考えると「走るのが好きだ」ということになるのだが、走る前はむしろ気が進まない。走らないとどんどん老化するぞと自らを励まして、何とか走っているのである。
p.s. ランニングを新ジャンルとして独立させました。バックナンバーはこちら。

少なくとも私にとって、マラソン大会に参加する目的は健康維持、身体能力低下を防止するためで、にぎやかなイベントを望んでいる訳ではない。
というのは、私にとって当然あるはずの選択肢がなく、「走るのが趣味だから」「タイム更新を狙って」「仲間と楽しめる」「イベントが楽しそう」などが固定の選択肢で、結局「その他」で自分で書かなければならなかったのである。
私の参加動機は「健康維持のため」「加齢に伴う身体能力の低下を防ぐため」である。「いつまでも健康でいたいから」ぐらい選択肢に含まれていてもいいのだが、そういうものはなかった。
多くのマラソン大会に参加者名簿が付けられていて、参加者をみると50代60代がもっとも多い。私が30代で走った頃はもっと若い人達が多かったと記憶しているが、いまや20代30代は少数派である。
50代60代の参加者にとって、私と同じ目的でランニングに励み、マラソン大会に参加しようと思う人は少なくないはずである。にもかかわらずそうした理由を想定していないとすれば、その主催者はいずれ見当違いな来場者サービスを始めるだろう。
想像するに、主催者は地域振興だけに関心があって、できるだけ多くの人に来てもらい多くのカネを落としてもらいたいのだろう。そのこと自体を否定するものではないが、だったらマラソン大会じゃなく他のイベントを開いたらどうですかと言いたくなる。
みんなが集まるのが楽しい、お笑いや女の子でにぎやかな出し物を見たいという人は、コミケとかゲームショーとかそういうイベントの方がいいんじゃないですかということである。
また、走るのが楽しくて仕方がないという人も、50代60代でどれだけいるんだろうか。村上春樹の本に瀬古さん(われわれ年代のスーパーランナーである)にインタビューした時の話が載っている。
「瀬古さんでも走りたくないなあ、って思うことはあるんですか」と村上春樹が訊くと、びっくりしたような顔でこう答えたそうである。「あるに決まってるじゃないですか」
比較にはならないが、私は走る前はいつもおっくうだし、えいやっと着替えて走り始めると最初の1kmくらいは辛くて仕方がない。準備体操をちゃんとしても、アキレス腱も痛むし肩も張る。2km3kmと走って、ようやく足も体も動くようになる。
残り1kmくらいでもうすぐ終わりだとうれしくなり、走り終わるとたいへんすがすがしい。悪いものが汗と一緒に流れてしまったようで、走る前よりずいぶん体が軽く感じる。
だから、後から考えると「走るのが好きだ」ということになるのだが、走る前はむしろ気が進まない。走らないとどんどん老化するぞと自らを励まして、何とか走っているのである。
p.s. ランニングを新ジャンルとして独立させました。バックナンバーはこちら。

少なくとも私にとって、マラソン大会に参加する目的は健康維持、身体能力低下を防止するためで、にぎやかなイベントを望んでいる訳ではない。