fc2ブログ

記事一覧

山小屋問題について(中編)

違和感の第二は、山小屋は誰でも自由に作れるんですかということである。

問題になっている山小屋のほとんどは国立公園の中にあって、自由に建物を作ることができない。それどころか、道路だって自由に通れない。食材の輸送や人員の確保に費用がかかるのは、初めから分かっているのである。

仮に私が、アメリカのIT長者くらいカネがあって、社会還元のため山小屋を提供したいと思っても簡単にはできない。おそらく、現在ある山小屋を買収して、いちいち許可をとって施設を改修する以外方法はない。

そもそも人手が足りてないのに遭難事故対応や登山道維持をしなければならないのは、国立公園内でカネをとって営業するバーターである。それは、許認可権をもつ国や地方公共団体と山小屋の間で解決すべき問題で、利用者に丸投げするものではない。

さらに言えば、利用者は山に登る前にすでにかなりの経済的負担をしている。北アルプスで言えば、駐車場料金や通行禁止区間のタクシー代、割高な首都圏からのバス代である。

ヤマケイの記事では横尾山荘でトイレの管理までしなければならないと問題にしているが、沢渡で払った駐車料金や上高地までのタクシー代はそういうことに使われないんですかということである。

従来、そういうことはあまり問題にならなかった。というのは、上高地の奥で山小屋を経営しているのは、沢渡や新島々の人達だからである。ところが、駐車場にも空きが目立つようになると、収入減でやっていけないという話になる。

だから、山小屋の宿泊費を上げるとか、別途入山料を取るという解決策が出てくる。入山料くらい取ればいいと思うけれども、一度取ればそれが既得権になり、赤字だから値上げという繰り返しになる。

そもそも、国立公園内にある山小屋の多くは、法律ができる前からあったという既得権で営業している。参入してくる競争相手がいないのだから、環境変化に伴う浮き沈みは自己責任の範疇である。

似たような事象で、いまたいへん苦々しく思うのは中国人観光客の増加である。

北海道に行ったら、旭川の上野ファームも富良野周辺も中国人だらけで騒がしくて仕方なかった。騒がしいだけなら我慢するが、JRの座席を大荷物で占領して、乗車率4分の1でも座るところがない状況である。

にもかかわらず、コロナで中国人観光客が減ってたいへん困るという人達がいて、どこかの空港では直行便が復活したので着飾ったお姉さま達が「歓迎光臨」の横断幕でにこにこしていた。

収入が減るから中国人でも誰でもという考え方と、山小屋経営が成り立たないから利用者や行政が何とかしろという考え方は、五十歩百歩、似たようなものと思うのは私だけだろうか。

(この項続く)

p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら

yamagoya.png
山小屋の経営がたいへん厳しいということだが、関係者が善意でやっているから応援しなければいけないという訳ではなかろうと思う。

プロフィール

taipa

Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

過去のnifty(2005-2014)、忍者(2014-2018)、当サイト(2018- )の2022年11月以前のブログ記事は、下のリンクからホームページでご覧いただけます。

カレンダー

11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -