第64期王位戦、藤井王位4-1で4連覇
- 2023/08/25
- 05:15
第64期王位戦七番勝負(2023/7/7-8/23)
藤井聡太王位 4-1 佐々木大地七段
棋聖戦に続く藤井七冠・佐々木大地の十二番勝負は7-2で藤井王位・棋聖が防衛に成功したが、スコアほど圧倒した訳ではなく、佐々木挑戦者も健闘したといっていいと思う。
スコアが大きく開いたのは、藤井王位・棋聖が先手番で5-0と圧倒したからで、後手番に限ると2-2だから五分である。いまの藤井七冠に、先手番を引いたとしても半分勝てる棋士はほとんどいない。
その意味では、両棋戦とも振り駒で第1局の先手番を取られたのは痛かったが、それでも先手番なら勝率5割だからたいしたものである。そして、敗れた後手番の戦いでも、あと一歩まで迫った戦いがいくつかあった。
だから、藤井七冠も対戦前のインタビューで、「課題は後手番」と答えていた。相掛かりでは乱戦になりやすく終盤まで一手違いというケースが少なくない。AIの評価値では差がついても、一手違いなので間違えればすぐに逆転する。
さて、藤井王位が先手番となった王位戦第1局、横歩取りから難解な中盤戦となったが、初日は後手やや指しやすいという意見が多かった。
ところが、佐々木玉が銀冠に入城したところですかさず▲3五歩。金で取ると▲4四銀と出て金取りと▲5三歩成の両狙いとなる。このあたりで逆転して藤井王位が幸先よく1勝をあげた。
このまま第3局まで連勝して防衛は9割方決まった。藤井王位の生涯戦績は8割を超えており、3連敗したことは一度もない。同じ相手に3連敗したのも、デビュー当時に豊島竜王名人(当時)だけである。
佐々木七段も第4局の先手番で一矢報いたものの、第5局で敗れて1勝4敗でシリーズ終了となった。これで藤井王位は早くも4連覇となり、来期早くも永世王位が懸かる。
月末から始まる王座戦で、藤井七冠は羽生以来の全冠制覇が懸かる。もちろん永瀬王座は棋界最強の実力者の一人だが、いまの藤井七冠相手ではさすがに分が悪い。
永瀬王座が勝利を最優先に考えるのであれば、後手番では徹底して千日手狙い、先手番で用意した作戦をぶつける他ないように思えるが、さすがに千日手狙いは美学に反するかもしれない。
そして佐々木七段。数年前から次にタイトル戦に登場するのは佐々木大地だろうと思っていたが、本田奎、出口若武に先を越されたものの、佐々木勇気、増田、近藤誠也といった若手ライバルより早くタイトル戦に登場した。
ただ、問題は順位戦に相性が悪く、いまだC級2組にとどまっていることである。奨励会時代からここ一番に弱く、三段リーグも次点2回でプロ入りしているが、順位戦でもこの一戦に勝てばという場面を何度か落としている。
得意戦法である相掛かりのコインの両面で、一手違いになるのは自分にとってもリスクと隣り合わせということだが、勝率7割でトーナメントだと負けないのだから、いつまでもこのままではいられない。
気が付いたらあのダブル挑戦の時がピークだったとならないよう、さらなる精進を期待したい。
p.s. 将棋関連記事のバックナンバーはこちら。

第64期王位戦第1局、佐々木七段チャンスかと思われたが、藤井王位が▲3五歩から巻き返し先勝、そのまま第3局まで連勝して優位に立った。
藤井聡太王位 4-1 佐々木大地七段
棋聖戦に続く藤井七冠・佐々木大地の十二番勝負は7-2で藤井王位・棋聖が防衛に成功したが、スコアほど圧倒した訳ではなく、佐々木挑戦者も健闘したといっていいと思う。
スコアが大きく開いたのは、藤井王位・棋聖が先手番で5-0と圧倒したからで、後手番に限ると2-2だから五分である。いまの藤井七冠に、先手番を引いたとしても半分勝てる棋士はほとんどいない。
その意味では、両棋戦とも振り駒で第1局の先手番を取られたのは痛かったが、それでも先手番なら勝率5割だからたいしたものである。そして、敗れた後手番の戦いでも、あと一歩まで迫った戦いがいくつかあった。
だから、藤井七冠も対戦前のインタビューで、「課題は後手番」と答えていた。相掛かりでは乱戦になりやすく終盤まで一手違いというケースが少なくない。AIの評価値では差がついても、一手違いなので間違えればすぐに逆転する。
さて、藤井王位が先手番となった王位戦第1局、横歩取りから難解な中盤戦となったが、初日は後手やや指しやすいという意見が多かった。
ところが、佐々木玉が銀冠に入城したところですかさず▲3五歩。金で取ると▲4四銀と出て金取りと▲5三歩成の両狙いとなる。このあたりで逆転して藤井王位が幸先よく1勝をあげた。
このまま第3局まで連勝して防衛は9割方決まった。藤井王位の生涯戦績は8割を超えており、3連敗したことは一度もない。同じ相手に3連敗したのも、デビュー当時に豊島竜王名人(当時)だけである。
佐々木七段も第4局の先手番で一矢報いたものの、第5局で敗れて1勝4敗でシリーズ終了となった。これで藤井王位は早くも4連覇となり、来期早くも永世王位が懸かる。
月末から始まる王座戦で、藤井七冠は羽生以来の全冠制覇が懸かる。もちろん永瀬王座は棋界最強の実力者の一人だが、いまの藤井七冠相手ではさすがに分が悪い。
永瀬王座が勝利を最優先に考えるのであれば、後手番では徹底して千日手狙い、先手番で用意した作戦をぶつける他ないように思えるが、さすがに千日手狙いは美学に反するかもしれない。
そして佐々木七段。数年前から次にタイトル戦に登場するのは佐々木大地だろうと思っていたが、本田奎、出口若武に先を越されたものの、佐々木勇気、増田、近藤誠也といった若手ライバルより早くタイトル戦に登場した。
ただ、問題は順位戦に相性が悪く、いまだC級2組にとどまっていることである。奨励会時代からここ一番に弱く、三段リーグも次点2回でプロ入りしているが、順位戦でもこの一戦に勝てばという場面を何度か落としている。
得意戦法である相掛かりのコインの両面で、一手違いになるのは自分にとってもリスクと隣り合わせということだが、勝率7割でトーナメントだと負けないのだから、いつまでもこのままではいられない。
気が付いたらあのダブル挑戦の時がピークだったとならないよう、さらなる精進を期待したい。
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第64期王位戦第1局、佐々木七段チャンスかと思われたが、藤井王位が▲3五歩から巻き返し先勝、そのまま第3局まで連勝して優位に立った。