第94期棋聖戦、藤井棋聖4連覇!!
- 2023/07/19
- 08:40
第94期棋聖戦五番勝負(2023/6/5-7/18)
藤井聡太棋聖 3-1 佐々木大地七段
タイトル初挑戦の佐々木大地七段が、返す刀で王位戦の挑戦権を獲得して十二番勝負となった第94期棋聖戦だが、大舞台の経験の差もあって藤井棋聖が3-1で防衛、これで棋聖4連覇を果たすとともに、タイトル戦及び番勝負の無敗記録を伸ばした。
佐々木七段はこのところ絶好調で、先手番では今年になってほとんど負けていない。得意戦法の相掛かりでは藤井棋聖にも引けをとらないと期待されたのだが、まず王位戦第2局を先手番で敗れ、次いで棋聖戦第4局も先手番を生かすことができなかった。
何しろ藤井王位は、番勝負でカド番になったことは豊島九段相手に一度しかない。棋聖戦第4局でも、難解な中盤戦で藤井棋聖が劣勢を意識したときの仕草がみられたのだが、勝負手連発で最後は逆転勝利、防衛を果たした。
ダブルタイトル戦が始まる時点で、両者の対戦成績は2-2の五分。それが棋聖戦決着まで7-3に開いたのだから、藤井棋聖の普段の勝率8割に近づいたということなのだが、中盤以降ずっと優勢というこれまでのタイトル戦とは少し違っていた。
特に相掛かりになると、さすがに佐々木七段の研究が深く、そう簡単に決め手を与えない。相掛かり自体1手違いになりやすい戦法なので、わずかな違いが終盤まで響くことになる。
第4局でも、AI評価値では佐々木七段が90%超という局面もあった。ただ、ここでも最善手以外を指すと大きく評価値が変動することになっていて、実際次の1手で逆転した。
アベマ解説を森内九段と八代七段がやっていたのだが、2人ともついていけてなかったので、プロが見ても難しい局面だったのだろう。その直前に藤井棋聖がAI推奨でない手を指して勝負をかけてきたので、解説者を含めて幻惑されたのかもしれない。
藤井棋聖は、よく知られるように詰将棋の速さと正確性ではプロ棋士中でも他の追随を許さない。持ち時間が少なくてもお互いの詰む詰まないは計算していたはずで、おそらく、普通に指していたら一手負けと思っていたのだろう。
佐々木七段はどちらかというと受けの棋風であり、今回の番勝負でもあえて藤井棋聖に手番を渡す場面が何度かみられた。受けに自信がないとできないことだし、実際途中までリードすることもあったから計算どおりだっただろう。
しかし、攻めについては藤井棋聖の方が一枚二枚上であった。まだ王位戦の決着がついていないので断言できないが、今回はそのあたりで差が出たといえる。
逆にいうと、佐々木七段の課題はそこにあって、順位戦で上位クラスに上がるには優勢の将棋を確実に勝ちにつなげる攻めをさらに磨く必要がありそうだ。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第94期棋聖戦五番勝負第3局。どの戦法も指しこなす藤井棋聖だが、もっとも得意とするのが角換わり。先手番の第3局、佐々木七段が右玉に構えたのに対し、すかさず▲9七桂とハネて主導権を奪った。
藤井聡太棋聖 3-1 佐々木大地七段
タイトル初挑戦の佐々木大地七段が、返す刀で王位戦の挑戦権を獲得して十二番勝負となった第94期棋聖戦だが、大舞台の経験の差もあって藤井棋聖が3-1で防衛、これで棋聖4連覇を果たすとともに、タイトル戦及び番勝負の無敗記録を伸ばした。
佐々木七段はこのところ絶好調で、先手番では今年になってほとんど負けていない。得意戦法の相掛かりでは藤井棋聖にも引けをとらないと期待されたのだが、まず王位戦第2局を先手番で敗れ、次いで棋聖戦第4局も先手番を生かすことができなかった。
何しろ藤井王位は、番勝負でカド番になったことは豊島九段相手に一度しかない。棋聖戦第4局でも、難解な中盤戦で藤井棋聖が劣勢を意識したときの仕草がみられたのだが、勝負手連発で最後は逆転勝利、防衛を果たした。
ダブルタイトル戦が始まる時点で、両者の対戦成績は2-2の五分。それが棋聖戦決着まで7-3に開いたのだから、藤井棋聖の普段の勝率8割に近づいたということなのだが、中盤以降ずっと優勢というこれまでのタイトル戦とは少し違っていた。
特に相掛かりになると、さすがに佐々木七段の研究が深く、そう簡単に決め手を与えない。相掛かり自体1手違いになりやすい戦法なので、わずかな違いが終盤まで響くことになる。
第4局でも、AI評価値では佐々木七段が90%超という局面もあった。ただ、ここでも最善手以外を指すと大きく評価値が変動することになっていて、実際次の1手で逆転した。
アベマ解説を森内九段と八代七段がやっていたのだが、2人ともついていけてなかったので、プロが見ても難しい局面だったのだろう。その直前に藤井棋聖がAI推奨でない手を指して勝負をかけてきたので、解説者を含めて幻惑されたのかもしれない。
藤井棋聖は、よく知られるように詰将棋の速さと正確性ではプロ棋士中でも他の追随を許さない。持ち時間が少なくてもお互いの詰む詰まないは計算していたはずで、おそらく、普通に指していたら一手負けと思っていたのだろう。
佐々木七段はどちらかというと受けの棋風であり、今回の番勝負でもあえて藤井棋聖に手番を渡す場面が何度かみられた。受けに自信がないとできないことだし、実際途中までリードすることもあったから計算どおりだっただろう。
しかし、攻めについては藤井棋聖の方が一枚二枚上であった。まだ王位戦の決着がついていないので断言できないが、今回はそのあたりで差が出たといえる。
逆にいうと、佐々木七段の課題はそこにあって、順位戦で上位クラスに上がるには優勢の将棋を確実に勝ちにつなげる攻めをさらに磨く必要がありそうだ。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第94期棋聖戦五番勝負第3局。どの戦法も指しこなす藤井棋聖だが、もっとも得意とするのが角換わり。先手番の第3局、佐々木七段が右玉に構えたのに対し、すかさず▲9七桂とハネて主導権を奪った。