ついに女峰山制覇 女峰山(その4)
- 2023/08/24
- 05:15
水場からさらに30分近く登る。ガレ場に沿った斜面で、危険防止のロープが引いてある。そろそろかと思って左を見ると、いきなり小屋が見えた。2階建ての白い大きな建物、かつての唐沢宿である。
午前10時半、梵字飯場跡から5時間、馬立分岐から2時間以上かかった。しかし、ここまで着いたからには、何としても女峰山頂上をきわめなければならない。
登る途中、沢の下流から早くも霧が登ってくるのが見えた。女峰山周辺には何度も来ているが、午後になると不思議と霧が登ってくるのだ。小屋と並んで立つ不動明王石像に手を合わせ、休みもそこそこに頂上に向かう。
唐沢小屋から頂上まではガレ場の連続かと思っていたら、まず林間の急傾斜をずいぶん登らなくてはならない。かなり上まで林は続いていて、「唐沢」と立札のあるガレ場まで20分以上かかった(おまけに、下りではここで道を間違えた)。
そして、女峰山のメインイベントともいうべきガレ場である。この日3つめの「〇」「→」ペンキ印だが、前回の黒岩ガレ場に比べるとずいぶん短い。しかし、ザレになっている箇所は足を置くとずるずる滑ってたいへん歩きにくい。
浮石だらけで、歩くたびに小さな石が斜面を転がっていく。近くに誰もいないのが救いである。薙をトラバースして、脇の斜面を登る。ここもまた長い。コースタイムは登り45分下り30分とあるが、登りも下りも1時間かかった。
息を切らせて登ると上の方にプレートのようなものが見える。近づいてみると、明治大学ワンダーフォーゲル部の慰霊碑だった。「この地に倒れ唐沢小屋にて永遠に眠る」とある。驚いたのはその日付で、昭和51年6月、亡くなった方の年齢は十九歳と書いてある。
昭和51年は、私が大学に入った年である。その年に19歳ということは、学年も同じか一つ上である。もしかすると、新人歓迎登山で事故に遭ったものだろうか。思わず手を合わせた。
(検索したがこの事故のことは分からなかった。関係ない記事ばかり出てくる。Googleは昔はこんなじゃなかったのだが)
慰霊碑から5分ほどで女峰山神社、一段上が頂上である。神社には、例によって五禅頂のお札がお供えされていた。頂上には誰もいなかった。この日の登山者は私だけだったようである。
人間はひとりだったが、トンボが無数に飛んでいるのと、アブだかハチの羽音が騒がしくて寄ってくるのが煩わしかった。日光はどこに行っても虫に悩まされる。山頂に立ち、四方向を見渡す。
(この項続く)
p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

いよいよメインイベント、女峰山直下のガレ場。足場が定まらず、半端なく滑りやすい。

女峰山頂上。この日はトンボと虫の天下で、他に誰もいないのに長居できませんでした。

頂上のすぐ下に女峰山神社があるが、それほど広い場所ではない。
午前10時半、梵字飯場跡から5時間、馬立分岐から2時間以上かかった。しかし、ここまで着いたからには、何としても女峰山頂上をきわめなければならない。
登る途中、沢の下流から早くも霧が登ってくるのが見えた。女峰山周辺には何度も来ているが、午後になると不思議と霧が登ってくるのだ。小屋と並んで立つ不動明王石像に手を合わせ、休みもそこそこに頂上に向かう。
唐沢小屋から頂上まではガレ場の連続かと思っていたら、まず林間の急傾斜をずいぶん登らなくてはならない。かなり上まで林は続いていて、「唐沢」と立札のあるガレ場まで20分以上かかった(おまけに、下りではここで道を間違えた)。
そして、女峰山のメインイベントともいうべきガレ場である。この日3つめの「〇」「→」ペンキ印だが、前回の黒岩ガレ場に比べるとずいぶん短い。しかし、ザレになっている箇所は足を置くとずるずる滑ってたいへん歩きにくい。
浮石だらけで、歩くたびに小さな石が斜面を転がっていく。近くに誰もいないのが救いである。薙をトラバースして、脇の斜面を登る。ここもまた長い。コースタイムは登り45分下り30分とあるが、登りも下りも1時間かかった。
息を切らせて登ると上の方にプレートのようなものが見える。近づいてみると、明治大学ワンダーフォーゲル部の慰霊碑だった。「この地に倒れ唐沢小屋にて永遠に眠る」とある。驚いたのはその日付で、昭和51年6月、亡くなった方の年齢は十九歳と書いてある。
昭和51年は、私が大学に入った年である。その年に19歳ということは、学年も同じか一つ上である。もしかすると、新人歓迎登山で事故に遭ったものだろうか。思わず手を合わせた。
(検索したがこの事故のことは分からなかった。関係ない記事ばかり出てくる。Googleは昔はこんなじゃなかったのだが)
慰霊碑から5分ほどで女峰山神社、一段上が頂上である。神社には、例によって五禅頂のお札がお供えされていた。頂上には誰もいなかった。この日の登山者は私だけだったようである。
人間はひとりだったが、トンボが無数に飛んでいるのと、アブだかハチの羽音が騒がしくて寄ってくるのが煩わしかった。日光はどこに行っても虫に悩まされる。山頂に立ち、四方向を見渡す。
(この項続く)
p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

いよいよメインイベント、女峰山直下のガレ場。足場が定まらず、半端なく滑りやすい。

女峰山頂上。この日はトンボと虫の天下で、他に誰もいないのに長居できませんでした。

頂上のすぐ下に女峰山神社があるが、それほど広い場所ではない。