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カネの使い方を知らない金持ち

タイタニック号の探検ツアーを行っていた潜水艇タイタンの行方不明事件は、深海の水圧で破壊されたことが判明した。

「のぞき窓」の強度が水深3000mではなく3000フィート(約1000m)しかなかったことや、チタンとグラスファイバーの組み合わせで耐久性に問題があったこと、以前の航行でも通信不能となっていたことなど技術的な問題が多々指摘されているが、個人的にまず思ったのは別のことである。

それは、乗っていたのがいわゆるセレブで、カネに糸目はつけない連中であったにもかかわらず、居住空間はせいぜい3畳足らずしかなく、そこに5人も詰め込まれたら酸素があっても息苦しいということである。

あのファミコンのコントローラーで操縦するのだから、まるで「働かないふたり」のゲーム合宿である。ゲーム合宿の方がまだ広いし、トイレもキッチンも別にあるだけ余裕がある。「働かない」はニート兄妹、潜水艇は大富豪である。

彼ら的には、タイタニック号の残骸を直接見ることができることに価値を認めたのだろうが、あのちゃちな覗き窓では、へばり付いたところで視界は限定される。無人カメラの映像で見た方がまだ鮮明だろう。

そして、タイタニック号のところまで沈むのに2~3時間かかるらしい。ということは、往復と見学時間で少なくとも7~8時間かかる。その間、あの息苦しい空間で我慢して過ごせるという時点で、すでにセレブではない。

私だったら、料金を倍出しても、操縦士と自分の連れの3人だけにするだろう。それにしたって狭すぎるが、赤の他人5人より大分ましである。狭い場所に詰め込まれるという点で、不法難民とたいして変わらない。

昔、NECの関連会社にいた頃、同僚にたいへんなお金持ちがいた。ある時、彼に連れられてホームシアターのような場所に連れて行ってもらった。自宅ではなく都心にあり、会員制のような仕組みだったと思われる。

まだ大画面TVができる前で、前方の壁全面がスクリーン。観客は職場の仲間4~5人で、それぞれの座席はリクライニングで手を伸ばしても横の人に届かない。お金持ちは映画館ではなく、こういうところで映画を見るのである。

そこで見せてもらったのが「トップガン」で、例のタッチ・アンド・ゴーを大画面で見る迫力はすごかった。お金持ちっているんだなあと思った(ちょうどバブル後期で、日本企業がアメリカの会社や不動産を買いまくっていた時期である)。

それに対して、現代のセレブはゲーム合宿と同じようなことを大金を出してやっている。だったら、働かないで同じことができた方がよっぽど賢い。覗き窓よりもTVゲームの画面の方が大きくて見やすいだろうし。

いくらカネ儲けが上手でも、稼いだおカネの使い道を知らなければ意味がない。最近の金持ちは宇宙や深海に大金をはたくけれども、ゴルゴ13のように自分で操縦できるのでなければ、結局他人に命を預けることになる。

もっと別なことにおカネを使う方がおカネも喜ぶように思うが、私が思ったところでどうにもならないことである。

p.s. 「なんとなく思うこと」、バックナンバーはこちら

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潜水艇タイタンの事故は、技術的な杜撰さもさることながら、大富豪と呼ばれる人達があの狭苦しい空間に何時間もいるのが平気ということに驚いた。「働かないふたり」のゲーム合宿じゃないんだから。

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taipa

Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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