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認知症予防の目的と手段

もう66歳なので、図書館に行くと医療関係の書棚に目が行く。どこの図書館でも認知症に関する本はかなり置いてあって、いくつか借りて読んだけれど、納得できるものもあるし首をひねるものもある。

以前、「老後に社会参加?」という記事を書いたけれど、なぜそうした意見に違和感を持つのか整理できたような気がするので、今日はそのことについて書いてみる。

認知症予防といっても、長生きすればほぼ確実に認知症になるので、心配しても仕方がないという意見もある。とはいえ、自分のことはなるべく自分でできた方がQOLが高まることは間違いないから、進行を遅らせることには意味がある。

その際、こういう食物をとればいい、こういう生活をすれば認知症になりにくい、進行を遅らせるという手段がいくつかある。医学的にある程度証明されていることも少なくない。

例えば、太陽が出ている時間は外に出て、日が沈んだら体を休めるという生活パターンは認知症予防に有効とされる。そうすることで体内時計がリセットされ、ホルモンバランスや脳の活性化に役立つ。常識的にこれは正しいだろう。

そして、真夜中をはさんだ時間帯で十分な睡眠時間をとること。脳のリカバリーは睡眠中に行われ、例えばアルツハイマーの原因とされるβアミロイドを掃除してくれる。これも、医学的に裏付けられている。

脳のリカバリーに使われる物質(ある種のタンパク質)は肉や大豆・卵に多く含まれるので、そういう食事をとることも有効である。そして、コレステロールを気にしすぎない。これも、昨今の医学的知見から納得できることである。

これらに対して、コミュニケーションをとること、社会参加を心がけることは、それ自体が脳の健康に役立つ訳ではない。できるだけ手を使って字を書けとか、スマホやパソコンに頼るなというのも、医学的に裏付けられてはいない。

字を書くことはここ100年か200年で必要になったことで、有史以前の数万年、数十万年は無文字文化である。言葉を使ったコミュニケーションだって、人類の歴史の中で10分の1程度だろう。

大切なのは脳のいろいろな部分を使うことであって、字を書くことやコミュニケーションはそのための手段である。他の方法で脳のいろいろな場所を使うことができれば、それで代替することが可能である。目的と手段をごっちゃにしてはいけない。

字を書くことは絵を描いたり土いじりをすることで代替できるだろうし、コミュニケーションは必ずしも対面でなければならないものではない。非対面による対話の弊害は指摘されているが、脳のどの部分を使っているかという議論ではない。

世の中の認知症予防本、老化防止本のほとんどは、目的と手段をごっちゃにした悪い例のように感じている。自分の頭と体のことは自分で考えて、自分でリスクをとるしかない。

p.s. 老後準備編スタートしました。2022年のバックナンバーはこちら

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何が老化を防ぎ、認知症を予防するのか。世の中のたいていの本は目的と手段をごっちゃにしている。自分の頭で考えて、自分でリスクをとるしかない。

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taipa

Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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