中高年の山歩き 日光鳴虫山(前編)
- 2023/06/01
- 05:15
2023年5月は急に暑くなった。
20日にもならないのに、もう真夏日である。このまま涼しくならなければ、とてもじゃないが山歩きという気候ではない。日中の散歩はすでに難しく、早朝に歩いているのは私だけではない。
このまま真夏になったら嫌だから、その前に山に行くことにした。そそくさと宿を予約して、2泊3日で日光を企画した。22日から数日は、前の週には晴れ予想であった。
ところが出発3日前になって予報が急変した。日本海に低気圧ができて、雨になるという。そう言われても、宿はもうキャンセルできない(しても全額キャンセル料である)。仕方がない。大雨にならないことを祈るしかない。
奥さんに「大雨だったらもう1日泊まるかもしれない」と言ったところ、「どうぞどうぞ。2泊でも3泊でも泊まってきてちょうだい」と返されてしまった。とはいえ、おカネの余裕はない。日光近辺で1泊5千円の宿をようやく見つけたくらいなのだ。
5月22日、午後から降るかもしれないという予報なので早出する。4時半に家を出て、国道297号線に入り茨城県を北上。鹿沼で東北道に乗って日光まで高速に乗る。これだと高速料金が千円以下で済むのだ。
8時前には神橋に着いて、24時間営業の西参道市営駐車場に止める。まあ、次の日も使う予定だから予行演習を兼ねていいだろう。入口で700円入れると、カードも何も出てこない。出る時に何も出さないのだ。何日も続けて止める奴はいないのだろうか。
この日は市内のハイキングコースを鳴虫山に登る。駐車場から駅前の方に戻って、御幸町のあたりに登山口がある。ぐるっと回って5時間ほどで戻って来るコースである。
市内だし、それほど標高が高い訳でもないので、この日は軽く準備運動のつもりだった。ところがこれが、とんでもないことになるのであった。
日光街道をゆるく下って行く。旧日光市役所の重厚な建物を右手に見て、閑静な住宅街に入る。少し入っただけで、観光地の喧騒とはまったく別の静かな地方都市の住宅街となる。違うのは、有料駐車場の案内が多いことぐらいだ。
スマホの地図を見ながら、川を渡って登山口に向かう。生活道路から左に登山道が分かれる。いきなり、うっそうとして暗い。そして急登である。まあ、最初のピークである神ノ主山まで標高差300mくらいあるので、多少の急坂はあるだろう。
ひと登りすると、T字路に突き当たる。どちらにも道案内はない。右には崩れかけた鳥居と小さなお社がある。天王山神社である。まず、こちらにお参りする。
大きな石碑があって、ここには皇室との由緒について書かれているらしいが、彫りが浅く消えかけているので読めない。小さな石像もいくつかあるから、かつては信仰を集めたのだろう。二礼二拍手一礼でご挨拶する。
T字路に戻って、左に進む。やがて、日光市の設置した案内板がある。まるでワープロの縦拡大のような字体が妙だが、鳴虫山はこちらでいいようだ。そして、二色の日光標識もみつかる。これを見ると、日光に来た気がする。
この時点での心配は、天気の崩れが早く、登っている最中に雨に降られることだった。
空もどんよりしていて、森の中なのでいっそう暗い。それほど時間がかかるコースではないから、ちゃちゃっと歩いてしまおうと思っていた。もちろん、そんな訳には行かなかった。
(この項続く)
p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

これは2日後に撮影した写真。日光市街から立ち上がっている高い峰が鳴虫山である。

登山口からひと登りで、天王山神社に着く。鳥居も崩れかけており、石碑の文字も読むことができない。

神ノ主(こうのす)山に向かう稜線には、赤テープとともに日光標識と呼ばれる二色の目印が木に打ち付けられている。
20日にもならないのに、もう真夏日である。このまま涼しくならなければ、とてもじゃないが山歩きという気候ではない。日中の散歩はすでに難しく、早朝に歩いているのは私だけではない。
このまま真夏になったら嫌だから、その前に山に行くことにした。そそくさと宿を予約して、2泊3日で日光を企画した。22日から数日は、前の週には晴れ予想であった。
ところが出発3日前になって予報が急変した。日本海に低気圧ができて、雨になるという。そう言われても、宿はもうキャンセルできない(しても全額キャンセル料である)。仕方がない。大雨にならないことを祈るしかない。
奥さんに「大雨だったらもう1日泊まるかもしれない」と言ったところ、「どうぞどうぞ。2泊でも3泊でも泊まってきてちょうだい」と返されてしまった。とはいえ、おカネの余裕はない。日光近辺で1泊5千円の宿をようやく見つけたくらいなのだ。
5月22日、午後から降るかもしれないという予報なので早出する。4時半に家を出て、国道297号線に入り茨城県を北上。鹿沼で東北道に乗って日光まで高速に乗る。これだと高速料金が千円以下で済むのだ。
8時前には神橋に着いて、24時間営業の西参道市営駐車場に止める。まあ、次の日も使う予定だから予行演習を兼ねていいだろう。入口で700円入れると、カードも何も出てこない。出る時に何も出さないのだ。何日も続けて止める奴はいないのだろうか。
この日は市内のハイキングコースを鳴虫山に登る。駐車場から駅前の方に戻って、御幸町のあたりに登山口がある。ぐるっと回って5時間ほどで戻って来るコースである。
市内だし、それほど標高が高い訳でもないので、この日は軽く準備運動のつもりだった。ところがこれが、とんでもないことになるのであった。
日光街道をゆるく下って行く。旧日光市役所の重厚な建物を右手に見て、閑静な住宅街に入る。少し入っただけで、観光地の喧騒とはまったく別の静かな地方都市の住宅街となる。違うのは、有料駐車場の案内が多いことぐらいだ。
スマホの地図を見ながら、川を渡って登山口に向かう。生活道路から左に登山道が分かれる。いきなり、うっそうとして暗い。そして急登である。まあ、最初のピークである神ノ主山まで標高差300mくらいあるので、多少の急坂はあるだろう。
ひと登りすると、T字路に突き当たる。どちらにも道案内はない。右には崩れかけた鳥居と小さなお社がある。天王山神社である。まず、こちらにお参りする。
大きな石碑があって、ここには皇室との由緒について書かれているらしいが、彫りが浅く消えかけているので読めない。小さな石像もいくつかあるから、かつては信仰を集めたのだろう。二礼二拍手一礼でご挨拶する。
T字路に戻って、左に進む。やがて、日光市の設置した案内板がある。まるでワープロの縦拡大のような字体が妙だが、鳴虫山はこちらでいいようだ。そして、二色の日光標識もみつかる。これを見ると、日光に来た気がする。
この時点での心配は、天気の崩れが早く、登っている最中に雨に降られることだった。
空もどんよりしていて、森の中なのでいっそう暗い。それほど時間がかかるコースではないから、ちゃちゃっと歩いてしまおうと思っていた。もちろん、そんな訳には行かなかった。
(この項続く)
p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

これは2日後に撮影した写真。日光市街から立ち上がっている高い峰が鳴虫山である。

登山口からひと登りで、天王山神社に着く。鳥居も崩れかけており、石碑の文字も読むことができない。

神ノ主(こうのす)山に向かう稜線には、赤テープとともに日光標識と呼ばれる二色の目印が木に打ち付けられている。