第8期叡王戦、藤井叡王3連覇で6冠防衛
- 2023/05/29
- 06:00
第8期叡王戦五番勝負(2023/04/11-5/28)
藤井聡太竜王 3-1 菅井竜也八段
振り飛車党との初タイトル戦となった藤井叡王(竜王)だが、第4局の後手番をサービスブレイクして、3-1でタイトル防衛に成功した。
これでタイトル戦負けなし・番勝負負けなしの記録がさらに伸びることとなった。タイトル獲得はこれで14期。叡王は3連覇。
名人戦七番勝負との同時進行となり、研究時間が確保できるかという心配があった。名人戦は2日制なので、前日から3日間拘束される。特に対振り飛車だと戦法がまったく異なるので、先行されると不利な展開もありうると思っていた。
幸い、振り駒の結果、第1局が先手番となった。ここを手堅く勝ち、後手番の第2局は菅井八段が意地をみせたが、第3局も勝ってカド番に追い込み、あと1勝と有利な展開に持ち込んだ。
第4局は後手番。本割は序盤戦で千日手となり、昼休憩をはさんで指し直し局。先手となった藤井叡王が指しやすい場面もあったが、合穴熊の寄せ合いで再び千日手となり、午後7時15分から2回目指し直し局となった。
アベマ解説の井出五段が「合穴熊は千日手になりやすいんですよね」と言うとおり、合穴熊から膠着状態となり、藤井叡王が本割と同じく△7二飛と寄った時には3度目の千日手必至かと思われた。
しかし、菅井八段としては先手の利を生かしたい。▲5八飛と打開して飛車交換から先に敵陣に飛車を打ち込んだのである。
お互い穴熊の堅陣なら先に攻撃した方が一手早いかと思われたが、藤井叡王が落ち着いて飛車交換で飛を取った歩を5六に伸ばす。▲5二歩打ちに対し△5七歩成と先にと金を作り、1手勝ちが見込める局面とすることに成功した。
最後は菅井玉をみごと即詰みに討ち取って、1日3局にわたった第4局を制し、叡王防衛に成功した。
今回の戦いをみると、対振り飛車(というより対菅井八段)の後手番においては無理に勝負せず、千日手で先後入れ替わりにすれば十分という考えのようだ。特に相手が穴熊にする場合には、お互い手詰まりになり先に手を出した方が不利になる。
個人的には、AI研究が進めば千日手は確実に増えると思っている。それが将棋として面白いかどうかはともかく、千日手を打開した方が不利になるのであれば、そうならざるを得ない。あとは体力と根気の勝負である。
3連覇を果たした藤井叡王は今日29日に岩手から移動、明日30日は長野へと移動し、31日からの名人戦第5局に臨む。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第8期叡王戦第4局は、2度の千日手からの2回目指し直し局を藤井叡王が制し3連覇を達成した。飛車交換から敵陣に飛車を打ち込んだのは菅井八段だったが、△5七歩成から△4七桂が早かった。
藤井聡太竜王 3-1 菅井竜也八段
振り飛車党との初タイトル戦となった藤井叡王(竜王)だが、第4局の後手番をサービスブレイクして、3-1でタイトル防衛に成功した。
これでタイトル戦負けなし・番勝負負けなしの記録がさらに伸びることとなった。タイトル獲得はこれで14期。叡王は3連覇。
名人戦七番勝負との同時進行となり、研究時間が確保できるかという心配があった。名人戦は2日制なので、前日から3日間拘束される。特に対振り飛車だと戦法がまったく異なるので、先行されると不利な展開もありうると思っていた。
幸い、振り駒の結果、第1局が先手番となった。ここを手堅く勝ち、後手番の第2局は菅井八段が意地をみせたが、第3局も勝ってカド番に追い込み、あと1勝と有利な展開に持ち込んだ。
第4局は後手番。本割は序盤戦で千日手となり、昼休憩をはさんで指し直し局。先手となった藤井叡王が指しやすい場面もあったが、合穴熊の寄せ合いで再び千日手となり、午後7時15分から2回目指し直し局となった。
アベマ解説の井出五段が「合穴熊は千日手になりやすいんですよね」と言うとおり、合穴熊から膠着状態となり、藤井叡王が本割と同じく△7二飛と寄った時には3度目の千日手必至かと思われた。
しかし、菅井八段としては先手の利を生かしたい。▲5八飛と打開して飛車交換から先に敵陣に飛車を打ち込んだのである。
お互い穴熊の堅陣なら先に攻撃した方が一手早いかと思われたが、藤井叡王が落ち着いて飛車交換で飛を取った歩を5六に伸ばす。▲5二歩打ちに対し△5七歩成と先にと金を作り、1手勝ちが見込める局面とすることに成功した。
最後は菅井玉をみごと即詰みに討ち取って、1日3局にわたった第4局を制し、叡王防衛に成功した。
今回の戦いをみると、対振り飛車(というより対菅井八段)の後手番においては無理に勝負せず、千日手で先後入れ替わりにすれば十分という考えのようだ。特に相手が穴熊にする場合には、お互い手詰まりになり先に手を出した方が不利になる。
個人的には、AI研究が進めば千日手は確実に増えると思っている。それが将棋として面白いかどうかはともかく、千日手を打開した方が不利になるのであれば、そうならざるを得ない。あとは体力と根気の勝負である。
3連覇を果たした藤井叡王は今日29日に岩手から移動、明日30日は長野へと移動し、31日からの名人戦第5局に臨む。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第8期叡王戦第4局は、2度の千日手からの2回目指し直し局を藤井叡王が制し3連覇を達成した。飛車交換から敵陣に飛車を打ち込んだのは菅井八段だったが、△5七歩成から△4七桂が早かった。