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無為をなし無事を事とし・・・

「無為を為し、無事を事とし、無味を味わう」老子の言葉である。諸事全般、すべてに通じる大原則として述べられたことなのだが、特に老後を過ごす心得として重要だと思っている。

ちなみに、これに続く一節「怨みに報いるに徳を以てす」「天下の大事は必ず細より作(おこ)る」は有名で、いろいろな場面でよく使われる(老子第六十三章)。とはいえ、大事なことは最初に述べるのが原則で、この一節が最も重要だと老子は考えたのだろう。

「無事を事とす」、トラブルやアクシデントを起こさないことが最も重要な仕事だというのは分かるが、まだまだ修行が足りないので、「無為をなす」「無味を味わう」境地は難しい。

世の中の人達の動き方をみていると、時間があれば何かをしなければならないと思っているようである。だから、暇ができると旅行だ観光だ外食だと、全くじっとしていない。

多分こういうのがいけないと老子は言っていると思うが、かといって何もしないことに耐えられるとは思えない。どういうことなのだろうといろいろ考えて、ふと思いついた。何もするなというのではなく、いつもと同じことをせよということではないだろうか。

ルーティーンで決まったことをしていると、血圧も上がらないし気分も落ち着く。そして、「決まったこと」の多くは必要なことで、決まっていてもいなくてもしなければならない。だとしたら、進んでやった方がストレスが少ない。

個人的なことだけれど、現役時代は1日1月1年が長くて気が滅入ったが、リタイアしてからは毎日が速く過ぎる。もうすぐ丸7年になるが、そんなに仕事をしていなかったっけと思う。この間正月だったのに、もうすぐ6月である。

かといって、海外に出かけたり国内旅行にいろいろ出かけたりしている訳でもない。時節柄もあるけれど、今年は泊りがけで出かけていない。毎日同じようなことをして、同じように過ぎて行く。

「無為をなし」がそういう意味でいいとすると、「無味を味わう」も別の解釈が成り立つかもしれない。別に味付けをするなということではなく、いつもと同じ味でいいじゃないかということである。

この歳になると、慣れない味・経験したことのない味を経験したところで、感激するより前に違和感が来る。だから、酒にしても料理にしても、結局同じ味・同じ銘柄を繰り返すことになる。

同様に、いまから新しい世界を開拓しようとしても、ストレスばかり多くてゆったり楽しむことができないかもしれない。だから、新しい土地・新しい経験よりも、これまでの延長線上とか周辺で、新境地を開く方がいいのかもしれない。

もっと歳を取れば、いよいよ老子のいうように「何もしない・味つけしない」境地に至るのかもしれないが、66歳のいまのところはそんな風に考えている。

p.s. 老後準備編スタートしました。2022年のバックナンバーはこちら

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「無為をなす」にもっとも近そうなのが禅である。仏教に禅が取り入れられたのは中国なので、おそらく老子の影響を受けているだろう。

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Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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