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第94期棋聖戦挑戦者は佐々木大地七段

第94期棋聖戦挑戦者決定戦(2023/4/24)
佐々木大地七段 O - X 永瀬拓矢王座

棋聖戦の挑戦者決定戦はゴールデンウィーク前に行われるのが通例である。今期は準決勝が4月20日だったのでゆっくりだなと思っていたら、中3日で24日月曜日に決勝が組まれた。渡辺名人が準決勝まで残っていたので、日程的に厳しかったのだろう。

今期のベスト4は昨年ベスト4のうち3人が残った。渡辺名人、永瀬王座と佐々木大地七段である。あと1人は今年A級に昇級昇段して波に乗る佐々木勇気八段。準決勝は渡辺vs大地、永瀬vs勇気の対戦となった。

勝ち上がったのは永瀬王座と大地七段。永瀬王座は対藤井竜王には相性が悪いが、他の棋士相手には勝ちまくっており、昨年度の成績は37勝19敗とほぼ2勝1敗ペースである。

一方の佐々木七段。棋聖戦も連続ベスト4、王位戦も何度かリーグ残留しており、棋王戦でも挑戦者決定戦まで駒を進めているが、まだタイトル挑戦はない。本田五段、出口五段といった後輩棋士に先を越されているが、ここは勝ってタイトル初挑戦したいところだ。

振り駒の結果、佐々木七段の先手。得意の相掛かりから、飛車先交換に▲7七金と受けて趣向をみせる。金を三段目に出て受けるのは藤井竜王も何局か指しており、流行しつつある戦型である。

そして下図となる。ここまで攻撃の陣形は双方ほぼ変わらないのに、守備は先手が8八に玉を囲っているのに対し、後手はまだ3一にいる。玉を2二に入れるには単純計算で2手必要だが、その場合角は1三に動かさなければならず窮屈だ。

つまり、この時点で佐々木七段が作戦勝ちということである。ここから手得から駒得に、駒得から具体的に優勢な局面に持ち込むまで長い中盤戦があり、さらに永瀬王座の粘りで長い終盤戦となったが、評価値は一貫して佐々木七段優勢であった。

珍しく永瀬王座が詰みまで指さずに投了、佐々木七段がタイトル初挑戦を手にした。2月から絶好調でこれで15連勝。現在決勝リーグが進んでいる王位戦でも挑戦者決定戦まであと1歩であり、こちらも挑戦者となれば藤井竜王との十二番勝負となる。

そして、今回の棋聖戦は久しぶりに海外での開催となる。コロナ以前もしばらく海外棋戦はなかったし、藤井竜王が棋士になってから初めてである。6月5日に第1局ベトナム対局が行われるので、藤井竜王としてはここまでに名人戦を勝っておきたいところだ。

佐々木七段はもちろん得意の相掛かりだろうし、藤井竜王はもちろん受けて立つだろうから、急戦になるか力戦になるか、いずれにせよ一手の価値がかなり高い将棋となるだろう。

p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

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第94期棋聖戦挑戦者決定戦。2月から14連勝中の佐々木大地七段が得意の相掛かりから趣向を見せ、この局面では作戦勝ちになっている。後手は玉を2二に入れるには少なくともあと2手必要。

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Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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