叡王戦、挑戦者は菅井八段
- 2023/03/17
- 05:55
第8期叡王戦挑戦者決定戦(2023/3/16)
菅井竜也八段 O - X 永瀬拓矢王座
Dwangoの提供した巨額の契約金で、棋界第3位の格式でタイトル戦となった叡王戦だが、Dwangoの撤退により七番勝負から五番勝負、変動持ち時間廃止、本戦トーナメントも24名から16名に減員となった。
今後、どのような性格のタイトルとなっていくか注目だが、とりあえず何十万円かで藤井竜王の対局を直に見られる特典があるのはリッチなファンにとってうれしいだろう。せっかくなら「見届け人」を抽選ではなくオークションにすれば、将棋連盟の安定収入となるような気がするが。
それはともかく、この棋戦の特徴は前年度ベスト4に入らなければタイトル保持者といえども予選スタートとなることである。予選はチェスクロック1時間の早指しで、実力通りに決まるとは限らない。組み合せの有利不利もある。
今期も、前期ベスト4の出口、服部、佐藤天、船江が本戦シードで、残り12名が段位別予選からの勝ち上がりとなった。その九段戦で、渡辺名人と豊島九段が敗退し、結果16名のうちタイトル保持者は永瀬王座一人になった。
ベスト4は前回と総入れ替えとなり、永瀬王座と菅井八段、山崎八段、本田五段である。いずれもタイトル戦登場実績があり、山崎八段は第1期の叡王(タイトル戦昇格前)、永瀬王座は第4期の叡王である。
準決勝第1局は菅井八段対本田五段。本割は双方穴熊から千日手となり、指し直し局で先手となった菅井八段が三間飛車から穴熊に組む。こうなると経験の差が物を言い、じりじりと差を広げた菅井八段が見事に1手勝ちをおさめた。
第2局は永瀬王座対山崎八段。先手を引いた山崎八段が、相掛かりから力戦に持ち込もうとするところ、永瀬王座は手堅く受けて仕掛けを許さない。銀が上ずったところを鮮やかに逆襲を決めて快勝した。
永瀬・菅井の決勝は三番勝負だった第4期以来。ここを2-1で勝った永瀬七段(当時)が、高見叡王をストレートで下して初タイトルを手にしたのである。
再び長手数の激戦が予想されたが、ゴキゲン中飛車から5筋をへこませた後手の菅井八段が主導権を奪う。永瀬王座は地下鉄飛車で対抗するも、右辺に取り残された金を引き付ける間に菅井八段が速攻、飛車と銀香交換の2枚換えを果たす。
こうなると振り飛車ペース。永瀬王座は1筋から逆襲するも、香車を連打した菅井八段の守りが堅い。1筋の制空権を制した菅井八段がミスなく寄せて永瀬王座投了、菅井八段が藤井叡王への挑戦権を獲得した。
藤井叡王はこれまで番勝負無敗だが、純粋な振り飛車党との対戦は初。今期A級順位戦でも菅井八段が勝ち星をあげており、名人戦とのダブルタイトル戦で藤井叡王の準備時間が十分とれないと、思わぬ混戦となるケースもありうる。
そして、五番勝負はチェスクロック4時間・切れれば1分将棋である。タイトル戦の中でも、波乱の起きやすいシチュエーションである。菅井八段にとって王位失冠以来のタイトル戦、気合の入った戦いが予想される。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第8期叡王戦挑戦者決定戦。中飛車の対抗形となったが、5筋をへこまることに成功した菅井八段が主導権を握る。永瀬王座が4八にいた金を4九に下げ、玉近くに移動させる間に1筋から速攻をかけた。
菅井竜也八段 O - X 永瀬拓矢王座
Dwangoの提供した巨額の契約金で、棋界第3位の格式でタイトル戦となった叡王戦だが、Dwangoの撤退により七番勝負から五番勝負、変動持ち時間廃止、本戦トーナメントも24名から16名に減員となった。
今後、どのような性格のタイトルとなっていくか注目だが、とりあえず何十万円かで藤井竜王の対局を直に見られる特典があるのはリッチなファンにとってうれしいだろう。せっかくなら「見届け人」を抽選ではなくオークションにすれば、将棋連盟の安定収入となるような気がするが。
それはともかく、この棋戦の特徴は前年度ベスト4に入らなければタイトル保持者といえども予選スタートとなることである。予選はチェスクロック1時間の早指しで、実力通りに決まるとは限らない。組み合せの有利不利もある。
今期も、前期ベスト4の出口、服部、佐藤天、船江が本戦シードで、残り12名が段位別予選からの勝ち上がりとなった。その九段戦で、渡辺名人と豊島九段が敗退し、結果16名のうちタイトル保持者は永瀬王座一人になった。
ベスト4は前回と総入れ替えとなり、永瀬王座と菅井八段、山崎八段、本田五段である。いずれもタイトル戦登場実績があり、山崎八段は第1期の叡王(タイトル戦昇格前)、永瀬王座は第4期の叡王である。
準決勝第1局は菅井八段対本田五段。本割は双方穴熊から千日手となり、指し直し局で先手となった菅井八段が三間飛車から穴熊に組む。こうなると経験の差が物を言い、じりじりと差を広げた菅井八段が見事に1手勝ちをおさめた。
第2局は永瀬王座対山崎八段。先手を引いた山崎八段が、相掛かりから力戦に持ち込もうとするところ、永瀬王座は手堅く受けて仕掛けを許さない。銀が上ずったところを鮮やかに逆襲を決めて快勝した。
永瀬・菅井の決勝は三番勝負だった第4期以来。ここを2-1で勝った永瀬七段(当時)が、高見叡王をストレートで下して初タイトルを手にしたのである。
再び長手数の激戦が予想されたが、ゴキゲン中飛車から5筋をへこませた後手の菅井八段が主導権を奪う。永瀬王座は地下鉄飛車で対抗するも、右辺に取り残された金を引き付ける間に菅井八段が速攻、飛車と銀香交換の2枚換えを果たす。
こうなると振り飛車ペース。永瀬王座は1筋から逆襲するも、香車を連打した菅井八段の守りが堅い。1筋の制空権を制した菅井八段がミスなく寄せて永瀬王座投了、菅井八段が藤井叡王への挑戦権を獲得した。
藤井叡王はこれまで番勝負無敗だが、純粋な振り飛車党との対戦は初。今期A級順位戦でも菅井八段が勝ち星をあげており、名人戦とのダブルタイトル戦で藤井叡王の準備時間が十分とれないと、思わぬ混戦となるケースもありうる。
そして、五番勝負はチェスクロック4時間・切れれば1分将棋である。タイトル戦の中でも、波乱の起きやすいシチュエーションである。菅井八段にとって王位失冠以来のタイトル戦、気合の入った戦いが予想される。
p.s. 将棋記事のバックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合あればご容赦ください。

第8期叡王戦挑戦者決定戦。中飛車の対抗形となったが、5筋をへこまることに成功した菅井八段が主導権を握る。永瀬王座が4八にいた金を4九に下げ、玉近くに移動させる間に1筋から速攻をかけた。