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好んで昆虫食を食べようとは思わないが

ネットをいろいろ見回っていると、昆虫食が話題になっているらしい。奥さんに「無印でコオロギパン売ってるの知ってる?」と訊くと

常識だよ。スーパーでコオロギせんべいだって売ってるよ。今度買ってきてあげようか」と言われた。スーパーには行くけど必要なものしか見ないから、そんなこと気づかなかった。

どうしていまになって昆虫食かというと、どこかで給食にコオロギパンを出したのと、国が昆虫食の研究に補助金を出したかららしい。国民に昆虫を食えというのかみたいな論調もみられるが、国が食糧事情の研究にカネを出すのが悪い訳がない。N党に政党補助を出すより全然有意義だ。

ただ、そもそもヨーロッパで昆虫食が注目されているのは、例によって環境保護、CO₂フリーの観点からである。誰だってわざわざ牛肉よりコオロギを食べたいとは思わないが、タンパク質に換算した必要な水とかCO₂の量が、家畜より昆虫の方が桁違いに小さいのである。

最近の環境保護は原理主義的になりつつあり、火力より風力、太陽光発電。ガソリン車でなく電気自動車でなければ認めないという風潮である。太陽光パネルが空から降ってくれば環境に優しいかもしれないが、太陽光パネルを作る製造工程や原料を調達する鉱物資源採掘まで考えれば、本当に優しいかどうか分からない。

私は以前から、森林を伐採して太陽光パネルを並べるのが環境保護になるはずがないと思っている。永久機関がないのと同様、余計な工程を加えるほど生産効率は下がるはずなのである。

昆虫食についても、イナゴの佃煮や蜂の子を好きな人もいるのだからいま始まった話ではないし、世界にはさまざまな食文化がある。食糧危機に備えて、いま食べられないものを食べられるようにする研究は、やらないよりやった方がいい。別に、コオロギパンを食べるのが絶対いやな訳ではない。

けれども気になるのは、その原料となる昆虫を、異常繁殖して困っているラスベガスとかで捕獲して活用するというのではなく、わざわざ養殖して加工するところである。

考えれば、捕獲して食材にしようとしても一種類の昆虫、生物だけが捕まる訳ではない。シラスであれば小魚やカニが入っていてもたいして影響ないが、バッタとコオロギ、カナブンを一緒に調理するのは厳しいし、そもそも選別するのが難しい。ゴキブリだけは絶対食べない人も多いだろうし、毒虫が入っていたら食中毒を起こしかねない。

だから養殖してコオロギだけにしなければならないのだが、同じ養殖するんだったら魚だし、そもそも牛・豚・鶏でいいじゃん。CO₂フリーもいいけれど、そこまでやらなくてもと考える人がほとんどだろう。

いや、食糧危機のアフリカで使うんですと言ったところで、アフリカの人達にコオロギ食べさせていいのかという話になりかねない。それ以前にコスト的に高くつくので、同じ費用で供給できる量が少なくなる。ミミズが優れたタンパク源なのに、食糧化が進まないのと同じである。

ジビエもそうだけれど、日本全国で増えて困っている野生動物は多いし、それらの野生動物が食用にできるすぐれたタンパク源であることは分かっていても、進んで食べようという人が多くないのと同じである。

昆虫食も、実用ではなく研究段階にとどまることがほとんどの人にとってハッピーだと思う。

p.s. 「なんとなく思うこと」バックナンバーはこちら。軽量化工事直後なので、不具合があればご容赦ください。

koorogi.png
コオロギ。最近急に昆虫食が話題になっているようだし、研究すること自体悪くないけれど、個人的には増え過ぎたイノシシやシカを食べる方が先のような気がする。(写真出典:Wikipedia)

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7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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