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印西大師45 明治の先達、梶原石五郎の梶原大師

印西大師巡拝はついに最終日の朝になった。初日に予定したルートを歩き切ることができず、計画を見直して6日間を7日間に延長するハプニングがあったが、なんとか予定どおり4月8日の誕生日に結願できそうだ。

白井の湯を経由するコミュニティバスは、7時56分白井駅発。間に合うよう早めに家を出る。工業団地に通勤する人達で満員になり立つ人もいる。料金は150円。新京成バスの路線もあるが、料金はもう少し高いはずである。

8時20分少し前に白井の湯に到着。近年できた割にはオールドファッションなスーパー銭湯である。車中泊YouTubeのらんたいむがここに来たことがあるが、外にトイレがあっただろうか。

バス停前の道路はすでにすごい交通量である。落ち着いて身支度もできないので、そそくさと出発。この日まず目指すのは、古名内集落にある嘉兵衛前という番外札所である。

印西大師については参考書もWEBもあるので、ナンバー札所がどこにあるかは地図付きで調べることができる。それでもどこにあるか分かりにくい札所もあるのに、番外札所は何の資料もない。見つけるのに困難を極めるが、ともかく行ってみるしかない。

今回はできるだけ明治ルートを歩きたいと思ったので、長楽寺の後、番外札所の野口地蔵堂、所沢薬師堂、折立来迎寺とお参りした。順路では、ここから嘉兵衛前、東光院、野中と続くが、所在地がはっきりしているのは東光院だけである。

バス停から5分も歩くと昔ながらの田舎道になった。すぐ裏が工業地帯なので、工場や車の音が間近に響く。とはいえ、それを除けば明治時代からこうだったろうという景色である。

ふと見ると、路傍に庚申塔や二十三夜塔、如意輪観音が雑然と置かれている。ここが、古くからの道であったことは間違いない。あっという間に、空気がお遍路モードに切り替わった。

明治ルートの番外札所・嘉兵衛前とは妙な名前である。普通はお寺やお堂、あるいは場所を示す名前がほとんどなのだが、唯一ここだけが人名なのである。候補になりそうなのは、Google Mapにある「東葛印旛大師第37、40番札所」である。

10分ほど歩くと、民家の間に小堂が現れた。お寺ではないものの、古い回向柱が2本立っている。ここだろうか。小堂はまさに札所のように古いものであるが、周囲に鉢植えの花が飾られているのが少し変わっている。Googleの場所とも少し違うようだ。

回向柱の字は薄くなって読めないが、あるいは小廻大師のものだろうか。数珠と経本を取りだし、この日最初のお参り。手を合わせていると、後方からおばあさまが「あらまあ、ちょっと待っていてくださいよ」と声をかけてきた。

小堂の基礎は石とコンクリの立派なもので、寄進者や協力者について書かれている。それを読みながら待つと、おばあさまがタオルとペットボトルのお茶を持ってきて下さった。今回初めてのご接待である。

お礼を申し上げて少し立ち話をする。「今年もコロナでお泊りいただけなくて」と話されていたから、東葛印旛大師の札所であることは間違いないようだ。この日は暑くなったので、お茶はありがたくいただいた。

家に帰ってタオルを広げてみると、「梶原大師」のネームが入っていた。東葛印旛大師の掛所(番外札所)である。明治時代に「下総四郡八十八ヶ所」の再興をめざし活動した梶原石五郎氏の開いた霊場で、高野山から僧を招いて開眼供養をしたという。

ということは、単にあのおばあさまの面倒見がいいということだけではなく、代々そうしてきたに違いない。明治時代ということは、草深の生大師とほぼ同時期ということになる。

※ 梶原大師については、白井市郷土資料館主催の企画展「新四国巡礼~人々の祈りの旅」と、講演会「白井の新四国と二人の巡礼者」を参考とさせていただきました。

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7日目のスタートは白井の湯。白井工業団地の中にある。らんたいむの社内泊YouTubeで紹介された。

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車通りの多い白井工業団地から100mほど入るだけで昔ながらの農村の道になる。とはいえ、車や重機の音は聞こえてくる。

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梶原大師。東葛大師の掛所(番外札所)となっている。明治時代に活動した梶原石五郎氏の開いた霊場である。

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Author:taipa
 

7年前にリタイア、気ままな年金生活を送っています。

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